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「さとちゃんの写真があればなぁ。是非「イーア!」と高らかに宣言してもらいたい。」
というコメントをいただいてから、居てもたってもいられず、にやにやしながらもそもそ書いてみました。
本編とは関係のない、ただの「もしかしたらこんなこともあったかも」話です。
短いですが、お暇な方は下方部の「つづきはこちら」からどうぞ。
というコメントをいただいてから、居てもたってもいられず、にやにやしながらもそもそ書いてみました。
本編とは関係のない、ただの「もしかしたらこんなこともあったかも」話です。
短いですが、お暇な方は下方部の「つづきはこちら」からどうぞ。
“アディル”はお父さん。
“アーディー”はお兄ちゃん。
“イーア”は弟。
それからお母さんは……
と、そこまでの脳内異世界辞書を捲り上げたところで、私は元の世界から持ってきてしまった鞄の中身をふと思い出した。
大事にしまってある鞄を取り出し、中身をがさごそと漁る。
といっても別段たいしたものは入っていない。
こちらの世界に来る前にコンビニで買ったばかりの新発売のチョコレートなら、こちらに来て早々に食べてしまったし、携帯はとっくに電池切れ。
では何を探しているかというと。
『あった!』
探り当てたのは、お財布の中に入っていたプリクラだ。
こちらの世界に来る数日前、弟のさとちゃんとゲーセンでUFOキャッチャーに興じていたときに、なんとなく撮ったものだ。
二人で変顔をしてみたり、変なポーズをとってみたり、というものの中に、二人で楽しそうに笑う1枚を見つけた。
携帯にはちらほらと家族の写メなんかも入っていたし、電池が切れるまでは何度も繰り返しその写メを眺めていたけれど、電池なんて早々に切れてしまった。
家族との写真なんて常に鞄に入れてあるはずもなく、電池が切れて以来、家族の顔をこうやって見るのは久しぶりのことだ。
懐かしい顔に、心がふわりと温かくなる。
さとちゃん。生意気だけど可愛い私の弟。
今、お姉ちゃんは、さとちゃんよりもでかくて可愛くなくてたまに優しい弟と一緒に暮らしているよ。
元の世界の家族のことを思い出し、少し切なくなりながら、私は小さな1枚のプリクラを見つめ続けた。
その日、いつものようにシュヴェルツが私の部屋にお茶をしにやってきた。
そして、机の上に置いていた小さなプリクラに目をとめて、シュヴェルツが眉をひそめる。
「何だ?これは」
「“え”」
プリクラを異世界語で説明することなどできず、“絵”であると一言で言ってみせた。
するとシュヴェルツは少し驚いたようにしてプリクラを手に取り、技術に感心したようにそれを眺めだす。
シュヴェルツは手も大きいので、その指につままれたプリクラは本当に小さく見えた。小さなプリクラをまじまじと見つめているシュヴェルツを見るのは少し面白い。
メイドさんたちも「リツ様の世界には素晴らしい技術があるのですねえ」と口を揃えている。
“ぎじゅつ”の単語はよく分からなかったが、きっと「すごいね」と褒められたのだろうと思い、私はうんうんと頷いた。
シュヴェルツのために、アリーが丁寧にお茶を入れている。
その香りに癒されながら、私はぽすんとソファに座った。
シュヴェルツはまだプリクラを見つめている。
まあシュヴェルツもとりあえず座れ、そして私の今日覚えた単語披露会に付き合いたまえ!とソファを勧めようとした、そのときだった。
シュヴェルツは私を見つめ、プリクラを見つめ、もう一度じろじろと不躾な視線を私に向けてきたのである。
「リツ、この絵のお前の隣の男……これは誰だ?」
訝しげなシュヴェルツの言葉をゆっくり反芻して、『ああ、さとちゃんのことを誰かと聞いているのか?』と判断する。
「かれ、“さとちゃん”。ええと、わたし、の―――おっと(イーア)!」
私の弟だ!
満面の笑顔で口にした言葉。
これ以上ないほどわかりやすい『弟“イーア”』の単語に、私を除くすべての人が、まるで時間が止まってしまったように、動きを止めた。
***
多分このあと、いろんな騒動が巻き起こったのではないかなあ……
ということで、ことさま、ありがとうございました。コメントいただいてからしばらく「それは……よい……ほわり」と楽しい妄想をさせていただきました。
“アーディー”はお兄ちゃん。
“イーア”は弟。
それからお母さんは……
と、そこまでの脳内異世界辞書を捲り上げたところで、私は元の世界から持ってきてしまった鞄の中身をふと思い出した。
大事にしまってある鞄を取り出し、中身をがさごそと漁る。
といっても別段たいしたものは入っていない。
こちらの世界に来る前にコンビニで買ったばかりの新発売のチョコレートなら、こちらに来て早々に食べてしまったし、携帯はとっくに電池切れ。
では何を探しているかというと。
『あった!』
探り当てたのは、お財布の中に入っていたプリクラだ。
こちらの世界に来る数日前、弟のさとちゃんとゲーセンでUFOキャッチャーに興じていたときに、なんとなく撮ったものだ。
二人で変顔をしてみたり、変なポーズをとってみたり、というものの中に、二人で楽しそうに笑う1枚を見つけた。
携帯にはちらほらと家族の写メなんかも入っていたし、電池が切れるまでは何度も繰り返しその写メを眺めていたけれど、電池なんて早々に切れてしまった。
家族との写真なんて常に鞄に入れてあるはずもなく、電池が切れて以来、家族の顔をこうやって見るのは久しぶりのことだ。
懐かしい顔に、心がふわりと温かくなる。
さとちゃん。生意気だけど可愛い私の弟。
今、お姉ちゃんは、さとちゃんよりもでかくて可愛くなくてたまに優しい弟と一緒に暮らしているよ。
元の世界の家族のことを思い出し、少し切なくなりながら、私は小さな1枚のプリクラを見つめ続けた。
その日、いつものようにシュヴェルツが私の部屋にお茶をしにやってきた。
そして、机の上に置いていた小さなプリクラに目をとめて、シュヴェルツが眉をひそめる。
「何だ?これは」
「“え”」
プリクラを異世界語で説明することなどできず、“絵”であると一言で言ってみせた。
するとシュヴェルツは少し驚いたようにしてプリクラを手に取り、技術に感心したようにそれを眺めだす。
シュヴェルツは手も大きいので、その指につままれたプリクラは本当に小さく見えた。小さなプリクラをまじまじと見つめているシュヴェルツを見るのは少し面白い。
メイドさんたちも「リツ様の世界には素晴らしい技術があるのですねえ」と口を揃えている。
“ぎじゅつ”の単語はよく分からなかったが、きっと「すごいね」と褒められたのだろうと思い、私はうんうんと頷いた。
シュヴェルツのために、アリーが丁寧にお茶を入れている。
その香りに癒されながら、私はぽすんとソファに座った。
シュヴェルツはまだプリクラを見つめている。
まあシュヴェルツもとりあえず座れ、そして私の今日覚えた単語披露会に付き合いたまえ!とソファを勧めようとした、そのときだった。
シュヴェルツは私を見つめ、プリクラを見つめ、もう一度じろじろと不躾な視線を私に向けてきたのである。
「リツ、この絵のお前の隣の男……これは誰だ?」
訝しげなシュヴェルツの言葉をゆっくり反芻して、『ああ、さとちゃんのことを誰かと聞いているのか?』と判断する。
「かれ、“さとちゃん”。ええと、わたし、の―――おっと(イーア)!」
私の弟だ!
満面の笑顔で口にした言葉。
これ以上ないほどわかりやすい『弟“イーア”』の単語に、私を除くすべての人が、まるで時間が止まってしまったように、動きを止めた。
***
多分このあと、いろんな騒動が巻き起こったのではないかなあ……
ということで、ことさま、ありがとうございました。コメントいただいてからしばらく「それは……よい……ほわり」と楽しい妄想をさせていただきました。
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